映画のトークイベントで東ちづるが自分の過去を話したことが話題に。人気者や芸能人の過去には色々な闇が隠されていることが多いですよね。でもそれを言ったら、ほとんどの人が苦しい思いをした過去があったりしますよね。
10日、現在公開中の映画『光のほうへ』の公開記念トークイベントがシネスイッチ銀座で行われ、かつて出演テレビ番組の中でアダルトチルドレンであることを公表した女優の東ちづるが、臨床心理士の信田さよ子さんと、多くの現代人が抱える家族問題や、それによって生まれるトラウマについてトークを繰り広げた。
映画『光のほうへ』は愛を知らずに育ち心に深い傷を抱えたまま大人になった兄弟が、どん底の人生から再び光を見いだそうともがく人間ドラマ。兄弟がたどる過酷な運命を穏やかなまなざしで映し出し、第60回ベルリン国際映画祭やデンマーク・アカデミー賞など多方面で高い評価を受けた。かつて出演番組の中で父親がアルコール依存症であったことを明かし、自身がアダルトチルドレン(幼少時に愛情を注がれず育ち、トラウマを抱えたまま大人になった人)であることを公表した東は、映画の感想を「自分の過去を思い出す辛いシーンが多く、見終わった後にとても考えさせられます」としみじみコメントした。
トークショーの中で、東は自身の過去に言及。一般的な中流家庭で育ち、父親はお酒好きという程度だったが、気づけばアルコール依存症になっており、あるとき急に吐血して救急車で運ばれたのだそう。「アル中という言葉がすごく嫌で恥ずかしかった。まるで父親が弱い人だからお酒に逃げているって思われるんじゃないか……というかわたしがそう思っていました」と当時の複雑な心境を振り返った。またその一件を境に母親の態度が変わったことを明かし「母は『がんばりなさい。しっかりしなさい。ちゃんとしなさい。早くしなさい』って良い子を求めて、わたしはその期待にこたえようと育っていき、ふと気づいたら高校3年間の記憶がなかったんです」と乖離(かいり)という精神分裂のような状態に陥っていたことを告白。芸能界に入ってからも「お嫁にしたい女性有名人ナンバー1」に選ばれるなど、一見華やかで順調な道のりを歩んできた東だが、必要以上に世間の目を気にして生きている自分に違和感を覚え、調べたところ自身がアダルトチルドレンであると気づき、カウンセリングを受け始めたことを赤裸々に明かした。
自殺やうつ病の人口が増加し、社会問題となっている現代の日本。ボランティアなどの社会活動を積極的に行っている東は、自己肯定ができずに生きる意味を見失う人や、家庭問題によるトラウマを抱えた人が犯罪者になってしまうことが多い現実を生々しく語る。しかし決して悲観的ではなく「もがくことは格好悪いことじゃない。例え無様になっても『助けて、私はここにいるよ』って良いながら生きていると光が見えてくるのかな」と希望を持つことの大事さと共に、現代人に向けてエールを送った。
よく家族愛をテーマにした映画や歌が発売されて、こぞってそれを買い求める理由。それはみんな家族に恵まれていないからそれを求めるんでしょう。全ての家族が愛に満ちていて、うまく機能しているのなら家族愛が重要視されることなんてありませんからね。